TMPGEnc Video Mastering Works 6(以下VMW6) で録画したアニメをエンコードするお話の続きです。前回のインターレース解除に続いて、今回はエンコード時のフィルタによって画質は良くなるのか、というお話。
録画したそのままの映像を拡大してみると、意外とブロックノイズが多いことに気付くと思います。地上波だと 1440x1080p で 20Mbps 弱といったところ、それを MPEG2 でエンコードしているので仕方ないところです。
- TMPGEnc Video Mastering Works 5 - 第3回「フィルター構成編 その1 ~1080iから1080p~」 : sha-cho.jp
- アニメのエンコーディングに関するメモ - Let's Try It!
- TMPGEnc Video Mastering Works 6 のフィルター処理で NVIDIA CUDA を使用した h.264 のエンコード比較:ことしつ
まずは調査がてらに色んな人の意見を見てみたのですが、大体の方が「映像ノイズ除去」あるいは「高精度映像ノイズ除去」を使っていて、「映像シャープネス」や「スマートシャープ」をお好みで、というパターンが多いようでした(各フィルタのオンラインヘルプへのリンクを張っておいたので、詳しくはそちらで)。
「高精度映像ノイズ除去」は処理が重いらしく処理時間が跳ね上がるので、性能に余裕があるか CUDA を使える環境ならば選ぶといった感じみたいです。
「スマートシャープネス」は後述しますが、下手にかけると作画に影響が及ぶくらいの効果が出ます。なので原画に忠実にしたい場合はオフにするのが好ましい。
結局試さないとはっきりわからないってことで、検証した結果を残しておきます。初めに断っておきますが、以下のキャプチャはすべてプレビュー画面から保存したものなので、最終的にエンコードして出てきたものをキャプチャしたものではありません。ご了承ください。
検証には『花咲くいろは』第 1 話より、緒花ちゃんの見上げるシーンを使わせていただきました。
高精度映像ノイズ除去
高精度映像ノイズ除去実写映像での高精細な処理や、ベタ塗りで構成されることの多いアニメーション的な映像で発生しているノイズ成分を解析し、除去します。また素材にすでに発生してしまっているブロックノイズなどの除去にも向きます。処理が複雑なため、通常の[映像ノイズ除去]フィルターよりもディテールの保持に向いていますが、処理速度に大きな影響が出るので、場合によっては[映像ノイズ除去]フィルターと使い分けてください。
通常の「映像ノイズ除去」より優れているが、やっぱり重たいみたいですね。
デフォルト設定
髪の輪郭線近くにあるブロックノイズが、なんとなく消えているのがお判りいただけるでしょうか。他の輪郭線近くも同様によーく見ないとわかりませんが、JPEG 系のブロックノイズが抑えられている感じです。
続いて、処理を軽くするために「範囲」を「狭い(速い) - ディティール保存重視」に固定し、「強さ」を変化させて検証してみます。
強さによる違い
いかがでしょうか。正直この記事を書いている画面では全然差がわからないのですが(笑)、拡大して見てみるとだいぶ違いがあります。強さ 100 になると緒花ちゃんの髪の明部のノイズは目立ちませんが、髪飾りの暗部の白浮きノイズは強さ 250 にならないと消えません。強さ 600 まで行くとノイズは確認できませんが、全体的にぼやっとした絵になるので、ちょっとやりすぎですね。大体の方が 200~300 を目安としているようでした。
違いがわかりにくい場合、画面の明度を上げて、比較画像をダウンロードして画像ビューワで全画面表示してパラパラとめくってみてください。
スマートシャープ
スマートシャープ映像の輪郭を検出し、輪郭部分を細く(スマートに)することで、解像感を向上させます。
ただのシャープネスではなく、ぼやっとした輪郭線を、太らせずに綺麗にはっきりさせる感じでしょうか。
デフォルト設定
こちらのフィルタはわりとわかりやすいでしょうか。輪郭線が明かに細くなっていますね。冒頭で「作画に影響が及ぶ」というのはこういうことです。線の太さが変ってしまうと、画風にも影響が出ますから、ぱっと見の綺麗さに乗せられて軽々しく使うものではないと思います。
範囲による違い
範囲:
強度による違い
ぼかし強度:
検出レベルによる違い
検出レベル:
結論
ここまで試しておきながら、結局は「高精度映像ノイズ除去」だけを使う予定です。強さは 250 で。いくら綺麗になると言っても、作画に影響が出るのはちょっとやり過ぎかなと思いまして。